生理学的に見たチームワークの力:心拍変動と社会的連帯の関係

2018年12月16日 2019年1月5日

心拍変動(Heart Rate Variability/HRV)とはなにか?

心拍変動というのは、どうにも聞き慣れない言葉ですが、これは心拍数のリズムの変動を表す概念になります。

私達の心臓はドクンドクンと規則正しく動いているように見えますが、必ずしも定規で図ったように一定のリズムで動いているとは限りません。

ドックンドックンという鼓動と鼓動の間にはちょっと長めだったり、ちょっと短めだったり、それなりのリズムのゆらぎがあります。

心拍変動というのはこういった心拍のリズムのゆらぎを示したものですが、

一般に人の体は興奮して交感神経が優位になるとこのトクントクンと心拍数が早くなり、リズムも比較的一定になり、心拍変動が少なくなり、

またゆったりとして副交感神経が優位になるとこのトックントックンと心拍数が遅くなり、遅くなった分、リズムが比較的不揃いになり、心拍変動が多くなることが知られています。

近年は計測機器や計測技術の発達により簡便にこの心拍変動を捉えることができるようになってきていますが、この心拍変動というのは人と人との関係性にどのような影響を与えるものなのでしょうか。

心拍変動と社会性の関係

今日取り上げる論文は、この心拍変動と社会性の関係について調べた論文を取りまとめたレビュー論文になります。

社会性というと言葉が固いのですが、私達人間は基本的につるみ合って何かをする生き物です。

それは夫婦だったり、家族だったり、仲間だったり、チームだったりしますが、互いに気を使いながら協力し合うことでいろんなことを成し遂げていく生き物です。

よく「息が合う」といいいますが、この論文によると心拍変動が仲間内で同調しているほど、チームとしての能力が高いこと、

具体的には

  • 親切な行動や協力行動が多い
  • コミュニケーションが互いに取れている
  • 社会的不和が少ない
  • 敵対的な相互作用が少ない

といった特徴があること、

また心拍変動を互いに同調させる具体的な訓練方法があり、この訓練を行うことでチームパフォーマンスを上げられること、

さらに興味深いことには、この心拍変動というのは、私達が意識するしないにかかわらず、同じ部屋に置かれたメトロノームがいつのまにか互いにシンクロして揃ってしまうように、

私達の心臓も心臓の電気信号が発する強力な電磁場の作用により、近距離であれば心拍変動が同調してしまうことが述べられています。

イライラしている人の近くにいるとなんとなく落ち着かない気分になったり、あるいはゆったりとした人の近くにいるとこっちまでゆったりした気分になるのは電磁場を通じた心拍の同調作用があるためなのかなと思いました。

実証的な研究もいくつかあるようなので、今後また取り上げていきたいと思います。

参考URL:New Frontiers in Heart Rate Variability and Social Coherence Research: Techniques, Technologies, and Implications for Improving Group Dynamics and Implications for Improving Group Dynamics and Outcomes.

wondering mindより